渋谷区ではかつて「渋谷茶」と呼ばれた銘茶の栽培が盛んに行われていたといいます。
京都の茶道薮内(やぶのうち)流と関係の深かった元佐賀藩主の鍋島家が、桑・茶栽培を奨励する政策のもとに明治9年、渋谷区の東側に「松濤園」という茶園をひらいてお茶栽培に注力し、「松濤」と名付けてこのお茶を売りに出していました。
この「松濤」というお茶が当時渋谷茶として愛され、皆様ご存知の通り、現在は著名人も多く住む高級住宅地の呼び名にもなっています。
鍋島家の名前は「鍋島松濤公園」という公園の名称のなかに残っています。
ちなみにこのとき鍋島家が植えたお茶の苗は佐賀のものではなく、日本三大銘茶の一つ、埼玉の狭山茶だったそうです。
約30年にわたって栄えた渋谷茶でしたが、1923年に東海道線が全面開通して安価な静岡茶や宇治茶が入ってくるようになると、高級だった渋谷茶は徐々に市場から追いやられ、やがてその歴史に幕を下ろすことになりました。
かつてお茶畑が広がっていたなんて、今の渋谷からは想像がつかないですよね。
渋谷区の茶の湯と、茶道具買取実績
渋谷区では、表参道で遠州流の茶道具を買い取らせて頂いたことがあります。
ご依頼主は70代のご兄弟。
空き家となった親御様の一戸建てを売却するにあたり、しまわれていた遺品(100点ほどの茶道具・骨董品)を整理するため、不動産会社からの紹介でご依頼頂きました。
まずはお見積もりだけをご希望でお伺いをさせて頂きました。
そのお見積りののちご兄弟は遺品の半分を形見分けなさるとお決めになられ、そちら以外を買い取らせて頂きに後日再度ご訪問致しました。
買い取らせて頂いたもののなかには、人間国宝である清水卯一(しみずういち)の青磁の茶碗がございました。
釉薬に厚みがあり、奥の方に貫入が綺麗に入っている大変素晴らしい作品でしたので、そちらには12万円の評価をさせて頂きました。
数日後には再びご依頼頂けてさらに数点を分けて頂き、合計の買取金額は約80万円になりました。
まずはお見積りだけでも構いません。渋谷区で茶道具の買取をお考えの方は、ぜひわたしたちアート熊野堂までお問い合わせ下さいませ。